第7話 大波乱の学園最強決定戦

38/46
179人が本棚に入れています
本棚に追加
/296ページ
あっけらかんとした調子で尋ねたユラシルの首に剣が突き付けられた。お供として同行してきた一人の騎士の物だ。 「口を慎め。このお方は王宮第三家臣のバリメス様だぞ」 「───……あ…?」 ゴキンッ!!とユラシルが握り締めた拳から指の骨が鳴る音が医務室内に響いた。表情を険しくした剣を突き付ける騎士を無視して、ユラシルはゆっくりと片膝を床につけて項垂れた。 「ご無礼をお許しください、バリメス・カスバッフィー様」 「構わない。ダイヤー少年からはまだ事情は聞けていないとのことだったな、では王宮の治療師に引き渡そう。連れていけ」 「はっ!」 「待っていただきたい。何故わざわざ王宮に?治療をするだけなら王国の治療師でも問題は無いのでは?」 ユラシルが割り込む。ダイヤーへ駆け寄ろうとした騎士の前に立ち、バリメスを見つめながらそう尋ねた。 「彼はなんらかの薬物によって強化されていた。どんな成分が含まれ、体にどんな悪影響が出ているのか詳しく調べる必要がある。王国の治療師よりも腕が立つ治療師に調べさせればわかるだろうからな」 「………」 「もし何者かに投与されているのなら、王宮に運び込む方が彼の身も安全だ。狙われている可能性を考慮すればなおさらな」 「確かに、間違いないでしょうね」 「わかったらそこを退け、邪魔なんだよ」
/296ページ

最初のコメントを投稿しよう!