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肩を掴まれ押し退けられるユラシル。ダイヤーは拘束されたまま担ぎ上げられ医務室の外へ連れていかれてしまった。
「では我々はこれで失礼する………ん?キミは確か、ローズエッタの」
「…はい、自分はローズエッタの息子、バズギーと申します」
「そうかそうか、大きくなっただけでなく強くもなったようだな───あの腰抜けのように」
ピクン、とバズギーの肩が弾んだ。ユラシルが目付きを鋭くさせ、アリッシュも眼球だけを動かしバリメスを見る。
「騎士でありながら任務を放棄し逃げ帰ってきた騎士の恥さらし。彼のおかげでどれだけ王宮騎士の品格が落ちたことか」
「……申し訳ありません」
「挙げ句には自殺だ。どこまでも逃げて結局は死んだ。まぁ、あんな男に騎士が務まるわけもない、死んでもらった方がこちらとしてもありがたかったがな」
「ッ…!」
「キミも将来騎士を目指すのならあんな男のようにはならないように心がけることだ。無様で見苦しい騎士など王宮に必要無いからな」
バズギーの顔が上がる。立ち上がり、拳を振りかぶろうと右腕を後ろに引いた。
「───今、なんつったお前」
口を開いたのはバズギーじゃなくユラシルだった。バリメスに詰め寄り、至近距離から睨み上げるユラシルに周りの騎士たちが剣や槍を構えた。
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