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「こいつの父親が恥さらしだ?任務を放棄した弱くて見苦しい騎士だ?王宮第三家臣ともあろう男は随分見る目が無いらしいな」
「何?」
「下がれ貴様!!下がらねば力ずくで下がらせるぞ!!」
武器をちらつかせ威圧的な言葉を放つ騎士たち。だがユラシルは微動だにしない。
「デッカーズ半島のことをどれだけ把握してる」
「…?危険な生物がいる島だ、だからこそそこを調査するために向かわせた」
「それだけか?」
「ん?」
「たったそれだけしかわかってねえのに惨めに逃げ帰った、あんたはそう言うのかよ」
「おい!!下がれと言ってる!これ以上下がらないと容赦しないぞ!!」
「黙ってろボケどもッッ!!!」
一際大きな声でもって騎士たちの口を強引に閉じさせた。バズギーも、止めようとしたアリッシュでさえも動きを止めてしまう。
「騎士の遠征は基本的に『下格』の騎士たちで構成された小隊で行く。その隊長として『中格』騎士が同行する、違うか?」
「その通りだ」
「バズギーの父親は『中格』の騎士だと聞いてる。つまり父親が小隊を率いてたんだろ。その場の全権は隊長である父親に委ねられる。わかるか?父親は遠征が果たせないと判断したから撤退を命じたんだ」
「それでも、与えられた役割は果たせていないことに変わりないだろう?」
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