第7話 大波乱の学園最強決定戦

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「それが三流以下の考えだっつってんだよ、バリメス・カスバッフィー」 ユラシルの眼光がさらに鋭くなる。強めているのは明確な怒気。命を尊重しない腐った考えが当たり前だと思っている男の顔を真っ直ぐ見据えながら、 「生きて帰らせ、報告し、全部の罪を自分一人で背負い待ってる家族に会った。わかるか?せめて最後にもう一度大切な家族の顔を見たかったから帰ってきたんだ……自分の命で償う覚悟が出来ていたから帰ってきたんだ!騎士としての矜持をちゃんと持っていたからこそ!そんな形で償ったんだ!!」 「………リーバック…!」 「こいつの父親を侮辱するな」 握り締めた拳。その指の隙間から血が滴り落ちる。 「任務のために命を捨てるのが騎士じゃない、命を賭けて、生きて任務を果たすために王に尽くすのが騎士だ!!名誉ある死なんかなんの意味も無い!!生きてこそ名誉が輝くんだ!!こいつの父親は誰よりも騎士の矜持を持っていた!!一番輝いた名誉を手にしたんだ!!そんな立派な騎士を侮辱するなんて俺が絶対許さねえ!!誰であってもだッ!!!」 バズギーの目から涙が溢れた。 こんな考え方、自分はしなかった。誰よりもしなければならなかった自分がしようとしなかった。 そうだ。 自分が憧れ、尊敬した騎士はそういう物だ。戦って死ぬ、任務で死ぬのが騎士じゃないんだと、ユラシルの言葉がわからせてくれた。
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