第7話 大波乱の学園最強決定戦

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「バリメス様……」 「少年、キミに言った王前試合の権利剥奪、あれは取り消す。元よりそんなことをする気は無い、それにこれほど王前試合が盛り上がっているのも初めてだ、終わらせては王様も、国民も納得しないだろう」 「………」 「最終試合、相手はあのハインバイスの息子だ。気を引き締めて戦うことだ。俺も楽しみにしているよ」 バリメスが医務室を出ていった。 アリッシュとバズギーはバリメスが完全に出ていくまで膝をついたままの体勢を続け、扉が閉まってから吐息を零し脱力した。 「荒事に発展しなくてよかったです、本当に……ユラシルくんが立ち上がった時はどうなることかと思いましたよ」 「……リーバック、その……礼を言う。ホントなら俺が言わなきゃならなかったことなのに、関係無いお前が言ってくれて……俺の心も重荷が取れて軽くなっ」 ゴンッッ!!!と椅子が壁にまで吹き飛んだ。ユラシルが蹴飛ばしたからだ。 肩を震わせて驚く二人の目の前でユラシルは歯を食い縛り、怒りを剥き出しにした顔で床を睨んでいる。 「ゆ、ユラシルくん…?」 「…………気色悪い」 吐き出されたのは嫌悪の言葉。 「あいつは…全部本当のことを言ってやがった…侮辱も謝罪も、そう思ったからこその言葉だった」 「は、はぁ…?なら別にいいんじゃ…」 「だったらなんであいつの言葉はあんなに軽いんだ」
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