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ユラシルの言葉の意味がわからない二人はただ見つめるだけ。
「空気みたいに軽く、欠片も気持ちが見えなかった…あいつの吐く言葉全部が本物でも、あいつの心は全く乗ってなかった。まるで台本に書かれたセリフを読み上げてるような感じで、バズギーの父親への侮辱も、謝罪も全部に中身が無い……あいつからすればどうでもいい、どっちだっていいんだ。騎士の矜持がどんな形でもあいつにとってはどうでもいいことなんだ…」
「………」
「………」
「気色悪い………あいつは、あのバリメスって男は──」
寒気すら感じた左肩を擦り、ユラシルは振り絞るように吐き捨てる。
「───人の心が無いみたいだった」
バリメス・カスバッフィー。
王宮第三家臣の地位につき、裏で細菌兵器『パープラギンス』製造を命じていた張本人。
人間に対しこんなに嫌悪感を抱いたのは、ユラシルにとって初めての経験だった。
☆
『さあさあさあ!!ついに最終決戦です!学園最強になるのはすでに最強と謳われた七年生レビック・ハインバイスくんか、それとも二年生ながらも前代未聞の快進撃を見せるユラシル・リーバックくんか!!この二人のどちらかが学園最強になる頂点決戦がいよいよ開始されます!!』
大いに盛り上がっている中歩み出る二人。長剣を背にしたレビックと、通常の剣を腰に差したユラシルが武舞台に上がる。
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