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「……すまないが、何があったのかは医務室の外で聞かせてもらっていた。今のキミの精神状態が悪いのはわかっているよ」
「最悪ちょい手前の気分だ」
「だけど悪いが、僕は本気で行かせてもらうよユラシルくん。キミとの戦いをずっと待ち望んでいた、あの日、放課後の中庭でバズギーと揉めているのを見た時から」
長剣を抜きゆったりとした構えを取るレビック。
「出来ることなら、楽しい戦いを希望する」
「……そうだな、今は試合に専念する時だ。あのクソ野郎が見てるのが気に食わないが、俺もお前との戦いを待ち望んでた。今だけはお前だけに集中するよ」
腰から剣を抜く───前に、ユラシルは頭と胴体に身に付けていた防具を外し足元に捨てた。
「なんのつもりだ?」
「こっちの方が全力を出せる。邪魔だし、無い方が刺激的な戦いになるからな」
「……フフ、本当に面白いなキミは。よし、僕も乗ろう」
レビックも防具を外して捨てた。自身を守るのは自身の力のみ、これこそが自分の力をより引き出せる状態。緊張感、緊迫感、危機感の全てが後押しする状態になった二人はそれぞれ剣を構える。
「調子のほどは?」
「絶好調まで持っていく」
「なら安心だ。………行くよ、ユラシルくん」
「かかって来い、レビック」
『王前試合最終試合───開始!!』
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