第8話 少年がもたらす微かな影響

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───遠いかつてのやり取りが脳裏を過ったのは、きっと今相対している人間がこれから千年も続く歴史ある騎士の一人だから、未来の親友の先祖だからだろうか。意図せず昔の一時を思い返しながら踏み出し、空気を引き裂き手に持つ剣を打ち込んだ。 衝突音が眼前で響く。全力の一振りを真っ向から反発する白髪の青年と束の間視線を交わらせ、 「強いな、レビック・ハインバイス──!!」 「まだまだこれからだ、ユラシル・リーバック──!!」 剣をいなされ体が流れたユラシルの顔面へ長剣の柄を先端に繰り出してきた。それを上体を傾けてかわし、地面と長剣を平行に維持したままレビックが突きを放ってきた。 「っぶねッ…!」 髪を掠める。ギリギリ回避出来たがレビックの攻撃は止まらず続けて突きを放ってくる。 肩口に添え、右腕のみを前に出すのでは無く体重移動も加えられた突きは速く鋭い。おまけに正確で、一切剣をブラさずに突き出してくる。 (突き出す腕を捻って剣先の貫通力を上げてる。連続で打てる腕力、正確性、隙と見て狙う先を瞬時に選ぶ洞察力……それに) 横から長剣を力強く払う。腕の方向がねじ曲げられるが何事も無かったかのようにまた構え、突きを放つレビック。 (強靭な腕の関節、そしてブレない体の軸……これはもう学生のレベルじゃない)
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