第8話 少年がもたらす微かな影響

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体の扱いが完璧と評しても差し支えないほどにレビックの体は出来上がっている。『中格』騎士よりも強いとは聞いていたが、この腕前は『上格』騎士にも匹敵するだろう。 ユラシルでさえ攻めあぐねるほどの強さは正に本物。学園最強に相応しい実力。 「そうでなくっちゃなァ!!」 ユラシルは笑みとともに言い放ち、剣先をレビックに向けて姿勢を低く構える。 「我流剣技、四ノ刃」 体を前へ押し出す。レビックも前に出た。 「【雨突(うづき)】ッ!!」 連続高速突きが迎え撃つ連続突きと激突。長さでは劣るが速度はユラシルが上。レビックはユラシルの突きを的確に対処しながらも攻め続けてくる。 武舞台の中央で繰り広げられる突きの応酬に歓声が湧く。手数で勝るユラシル、長さを活かしうまく立ち回るレビック。最早学生同士の戦いとは思えない攻防を見せる二人。 (連打で隙作るつもりだったが宛が外れたな、こうも対処されたら体力の無駄か) ならば突き技での攻めを変えよう。ユラシルは一歩前に踏み込み、 「一ノ刃【舞衝(むつき)】ッ!!」 「くッ!?」 突きから振りに変え、レビックの連続突きを悉く払いながら前進。レビックは体重移動で威力を上げていた、だがこうして前に出られ、自分が下がらされると本来の突きの威力が半減、腕力のみとなってしまう。
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