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長剣を両手で掴み、剣先をユラシルに向けて構えたレビックの言葉にユラシルは眉を寄せた。
レビックの言う『奥の手』がなんなのか、それはすぐにわかった。
ピリッ…!と肌に刺さる圧力を感じた。
(面白えッ…まさか使えるのか、レビック!)
レビックの体から溢れ出した半透明な白い光が長剣へ流れ込み微かに光り輝いた。
常人には見えない未知の力。世界に満ちる摩訶不思議な力は間違いなく───『ワールド』である。
「──行くよ」
言って、溜めて。
それだけの動作が挟まれていたのに、レビックのダッシュに反応が遅れたユラシルは慌ててかわすも服を裂かれた。
「よく避けた」
「うぉッ」
驚く声が先に出た。振り向いてレビックを見ようとした時には正面に立たれ、斜め下から払われた刃に胴体を打たれユラシルが体を畳んで吹き飛ばされる。
「ごパッ…!!」
血を吐きながら転がされたユラシルは武舞台の端でやっと止まれた。だが直撃を受けたせいですぐには起き上がれず、咳き込みながら体を丸くする。
「こんなに戦いを楽しく感じたのは初めてだった。ありがとうユラシルくん」
「ゲホッ!……驚いた、まさか使えるとは思ってもみなかったぜ…!」
「どうやら、キミはこの力を知っているようだね」
「まぁな…」
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