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チカッ、と男の真上で小さく何かが光った。察知し、血に濡れた歯を食い縛った男が体を地面から跳ね起こして横へ跳ぶ。
直後に落ちてきた光が、男がいる地に風穴を開けた。光の柱はしばしそのまま残って、十分猛威を振り撒いてから消える。落ちた際に生じた衝撃波が周囲の炎や自然、逃げ惑う生物たちを片っ端から薙ぎ払った。
目と鼻の先で大爆発が起きたかのような風圧。だがそれを踏ん張ってなんとか堪えた男は地面を蹴り高々と跳び上がる。辛うじて残っていた大木よりも高く、半壊した山さえも越える高さにまで跳躍して、男は右手に握るそれを頭上に振りかぶった。
黒い刃に赤いまだら模様がある剣。男の相棒でもあるそれは深紅の光を放ち、
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
渾身の力でもってそれを振り下ろした。
"山さえも越えた高さにある頭に向かって"。
だが、刃が着弾する前にこちらに向いていた顔は大きく口を開いて、そこから破壊の光を吐き出した。
ギャゴォオオオッッッ!!!と。回避も許さぬ一撃が男へ迫る。光は確実に男の命を奪うだけの力があった。だから男は全力で抵抗する。刃を光にぶち当てる形で。
「ぐゥウウッッ──!!」
拮抗したのは少しの時間。力の衝突によって起きた爆発に巻き込まれ、男は煙りを引き連れて大地に叩き付けられた。
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