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言葉が尻下がりになる。見てしまったからだ、ミラが立てないと言っている理由がわかってしまったからだ。
「私の足……もう無いのよ」
「…………そん、な…」
「アレが目覚めた時の衝撃に当たって消し飛んじゃった…私のことはいいから、あんただけでも逃げなさい…」
「…ふ、ふざけたこと言うな……そんなこと出来るわけねえだろ!?逃げられねえならここで自分を守ってろ、すぐ俺があの野郎をブッ倒してくるから!」
「…あんたでも無理よ、わかるでしょ……アレは、人の力でどうにかなる物じゃない…」
「うるせえ!!いいから『ワールド』集めて壁を作れ!すぐに終わらせる、あいつを仕留めてきてやるから!」
「……ユラシル…」
片腕を無くしたユラシルは剣を構えて立ち上がろうとするがミラが掴んでそれを止めた。
「…ユラシル、聞いてちょうだい」
「……離せ。最後の言葉とか抜かすならひっ叩くぞ」
「違うわよ……あんたが見つけたあの『石』、今が使う時なんじゃないの?」
「…どういうことだ」
「この世界はもうダメよ……あいつが目覚めてしまった以上どうにもならない、この時代ではあいつを倒せない…なら、"倒せる時代に行くしかない"」
「…………お前、まさか」
「そう」
ミラは生気の乏しい虚ろな眼差しを向けて、ユラシルに提案する。
「―――ここじゃない過去の時代、そこでならまだアレの力も今ほどじゃないはずよ。だから、あんたはそこでやり直すの」
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