安寿の計 - La stratégie d'Angel -

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 厨子王(ずしおう)は走った。胸には毘沙門(びしゃもん)の宿る地蔵菩薩の金像(こんぞう)を抱え、姉の思いを無下にはしないと誓いながら、雑木のあいだを飛ぶ鳥のように駆け抜けた。  厨子王は勘づいていた、姉の安寿(あんじゅ)は死ぬつもりだと。死して弟を逃し、望みをつなぐように仕向けたのだと。あるいははじめから、この日のことをはじめに決意したそのときから、姉は、いざとなればこの地に身を沈める覚悟でいたのかもしれない。  b47d4019-af7f-421b-a20c-a6e5ccc220ed
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