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彼の香り
◇◇◇◇
『君の香りを、穢されたくなかったからだよ』
そう言って微笑む彼女からは、秘密のかおりがした。
◇◇◇
「おはよう美岬」
「おはよう由衣ちゃんー!あ、柔軟剤替えた?」
朝教室につくと由衣ちゃんからいつもと違う香りがした。
「さすが美岬、よくわかったね」
「前の甘い香りもよかったけど、こっちのオレンジのもいいね」
由衣ちゃんと話していたら隣からシトラスの香りが鼻腔を掠めた。
「あれ直樹君珍しい、いつもの香水じゃないけど……彼女さんに言われたかな?」
「お前は探偵か何かかよその通りだわ」
「多分直樹君たまにムスクの生還スプレー使ってるじゃん?それとあの香水はちょっと合わなかったんだと思う」
「お前は相変わらず人の匂いに敏感だな犬かよ」
「好きだからねえ」
人からかおる匂いが好きだ。
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