プロローグ「自己紹介でもしようか」

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プロローグ「自己紹介でもしようか」

小さい頃から運動が苦手だった。 友達のお母さんとか、 近所のおばさんとかに「紗雪(さゆき)君は足が速そう」とかよく言われていた。 だが、小学校の時にリレー選手になんて選ばれたことないし、走る順番も後ろの方だった。そして大体最下位か、良くて一個上を持続していた。 先生にいくら教わっても、体育だけは全く出来なかった。 皆は楽しく授業を受けていたが、俺にとっては苦痛な時間でしかなかった。 机の上で問題を解く方がよっぽど好きだった。 元陸上選手の父に似たのか、見た目だけバリバリなスポーツマン体型になってしまったらしい。 確かに、サッカーでもしてそうな顔ではある……と自負してる。 だが、やっぱり見た目だけだ。 この前水泳の授業していたら、溺れていると勘違いしたクラスメイト、しかも女子に先生を呼ばれた。先生がマジな顔でプールに飛び込んできたくらいだ。 こっちは必死に泳いでたのに、他から見たら、溺れてもがいているようにしか見えなかったらしい。 25m泳げないくらいでなんだ。俺なんか毎回同じ場所で息継ぎしてるんだぞ。 まぁつまり、あっち側に渡れたことがないという事。タイムを測る側が降参して、俺は途中で終わりになる。 そんな見た目だけスポーツマンな俺がアイツと出会ったのは、今年のクラス編成の時だった。
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