ドア

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ドア

大学に通うため一人暮らしを始めたばかり、慣れない土地を帰宅途中、ふと通りかかった古ぼけた集合住宅。所謂、団地だ。    老朽化が進んでおり、壁はところどころひび割れ全体的に黒ずんだ色味をしている。それに加え異様なほど巨大であった。  全部で3,4棟ぐらい並んでいるのだが、1棟につき優に100世帯以上は居住出来るのではないだろうかと想像に難くない。  空には今にも降り出しそうに、水分を湛えた灰色の分厚い雲が停滞している。その天候も相まって、佇まいは、いかにも化け物団地といった様相を呈している。
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