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 俺がアインたちと出会って1ヶ月が経った。  あの後も何度か悪魔と戦ったが、肝心の"殺人鬼の姿をした悪魔"には出会えていない。  そう、そもそもそれが元で俺はここにいるんだ。 「上達したなルーク!」 「は、あんたが衰えたんじゃなくてか?」 「言うようになってきたな…!」  今日はアインに相手をしてもらっている。  俺もそこそこ強くなってきたように思う。  気のせいか、生身の腕っ節も上がってるんじゃないか?  回し蹴りする右足の先に、今度は切れない状態の銀の刃を付ける。  左手のほうに銀の能力を控えさせ、同じ右足で追撃を入れる。 「がんばれー!やっちまえー!」 「父上ー!」 「ルーク…うまい」  今日は3つ子は見学だ――屋敷の窓から。 「わっやべっ、おばさんにおこられるぞ!」 「ちょ、カーティス!はやくいってください!」 「…!」  家庭教師である彼らのおばの目を盗んで、だが。 「はっはっは、あの子らは見てて飽きないだろう」 「…まあな」  俺がアインとの手合わせを終え、昼食のために屋敷へ戻ると、おばから逃げる3人の声が聞こえた。  俺はそれを背に、食堂へ向かう。  一体何人入るんだという広さの食堂には、長いテーブルと8個の椅子があり、厨房はこちらから見えるようになっている。  厨房のコックに軽く会釈し、コルクボードに貼られた今日のメニューを確認した。  ここに来て気がついたことだが、世の中にはうまい飯があるもんだな。  前みてえな暮らしじゃ、到底ありつけないようなもんばっか食わせてもらってる。 「苦手なものはありました?」  コックが聞く。 「いや…苦手なもんがあるほど、色んなもん食ってねえからな」  そういうとコックは、 「ならここでいっぱい色んなものを食べてください、それで苦手なものが出来たら、私に言ってくださいね」  と笑って言った。 「…わかった」 「ふふふ、あとは待っててください、もうすぐ出来ますから」  あのコックは不思議だ。  なんで俺なんかにあんなことを聞くんだ。  無視して好きにやりゃいいってのに。  俺はメニューから目を離し、1度自室へ戻った。
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