その後

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その後

 2019年3月13日、水曜日。  日本の中心地、東京の東北東約65km。  そこに、並々ならぬ雰囲気を湛えた4人の男が降り立った。  うち3人はよく似た容姿で、金髪に碧眼で色白の、美しいという形容詞がよく似合う男たち。  そしてもう1人は―― 「――Hurry up. You'll miss the bus.」(急げよ、バス乗り遅れんぞ) 「Ah,I just saw a souvenir.No?」(え〜、お土産見てただけですよ。だめですか?) 「Because Japanese public transportation is accurate to time.」(日本の公共交通機関は時間に正確だって言うからな〜) 「…Let's go.」(…行こう)  ハーフアップにされた伸びた白髪、鋭い目付き。  耳には多くのピアス穴が開けられている。  ピッタリとした黒スキニーに、春もののグレーのロングコート。  身長があるだけに、さながらモデルのような雰囲気を出し、周りの視線を釘付けにしている。 「I mean…We need to speak Japanese because we are in Japan.Right?」(つーか…日本にいるんだから、日本語で話さないとじゃね?違うか?) 「確かにそうかもですねぇ」 「あっ、ランディーお前抜け駆けすんなよな、日本で最初に日本語話すの俺だって思ってたのによー」 「何、その、競走…」  美しい3つ子と、モデルのような男。  言わずもがな、彼らはルークことルーカス・ブレイデンと、イアン、ランディー、カーティスの3つ子だ。  あれから11年。  ルークは27歳、3つ子は15歳となった。  この日から、彼らは拠点をイギリスから日本へと移した。  その理由は、後に明らかになるだろう。 「ほら行くぞ」 「はあ〜い。行きますよ、2人とも」 「しゃあねぇな〜、行こうぜ、イアン」 「ん…」  彼らの物語は、――  黎明の天鍵 に続く
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