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夏生とは、地元が一緒の幼馴染。高校と大学は違ったけど、家が隣同士だから双子の姉妹の様に過ごしてきた。
今の会社に内定が取れた時に、夏生も同じ会社だと知って本当嬉しかった。
2人共に総合職。
2人で頑張って来たよね。
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夏生の彼氏の蓮くんは俳優。
高校の同級生だったと夏生から聞いた。
高校生の頃から俳優をしていて、今は朝の情報番組で司会をしたりマルチに活躍してる。夏生が学生時代から蓮くんと付き合っていたのは、社会人になってから聞いて知っていた。
俳優が彼氏なんて羨ましいけど、私には無理!
だって、普通の恋愛がしたいもん。
普通に手を繋いでデートしたいし、友達にも紹介したい。
確かにかっこいいけど、いつも人目を気にしてなきゃいけないなんて絶対に無理!
そう思ってた。
だけど、夏生から蓮くんを紹介されて仲良くさせて貰ってるうちに、蓮くんからカズを紹介されて…
俳優さんなんて好きにならないわ!って思ってた自分が、どんどんカズに惹かれていった。
カズから付き合って欲しいって言われた時は悩んだし。
付き合い始めた頃は不安もあった。
でも、気がついたらもう離れられないほど、カズが好きになっていた。
普通は、好きなればなるほど将来を意識して、あれこれ未来を語る楽しみがあるのに、
私達の恋は先が見えない。
カズは売れっ子の若手俳優。
彼女の存在はまだ公にはできない。
好きになればなるほど、私の不安が増大していく。
カズを信じてる。
信じてるはずなんだけど、
ちょっとした事が、私を不安にしていくの。
この前の雑誌に書かれた熱愛だって…
カズが私に何も言わないから、熱愛じゃないと信じてる。
信じてるけど…
綺麗な女優さんとのツーショットを見るのは
やっぱり辛い…
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これが最後の恋にしたい。
そう思えるほどカズが好き。
だから私は仕事を頑張る事にしたんだ。
カズとの将来が見えなくても、
ずっとカズのそばにいたい。
仕事があれば、私は今の何の約束もない状態でも踏ん張れると思ったの。
主任になって仕事も責任も増えたけど、カズと会えない時でも、仕事があれば淋しさを忘れられるから。
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自分の席につく前に、もう一度カズに電話する。
9時過ぎに、迎えが来るって言ってたから、自分のマンションに戻ったのかな?。
少しでもカズと長く過ごせる様に、私がカズのマンションのすぐ近くに引っ越したから。
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着信音が何回か鳴って、留守番電話に切り替わった。
きっと、もう仕事に行ったんだね。
カズが遅刻しないで仕事に行ける安堵感と、
留守番電話に切り替わって、カズの声が聞けなかった淋しさが、私の心の中で混在してる。
なんだかさ、私ばっかりが我慢して無理してる気がする。
ねえ…
これは、いつまで続くんだろう。
やっぱり、私には未来が見えないよ。
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