千尋の回顧

1/4
前へ
/15ページ
次へ

千尋の回顧

・ 昨日の夕方 『あ、千尋?。今、仕事中…だよね。』 突然、カズから電話があった。 カズの仕事が忙し過ぎて、この一ヶ月位は、メールかLINEでしか連絡してなかったから。 本当に突然だったけど、カズの声がスマホから流れてきた事が凄く嬉しかった。 「カズ!。どうしたのこんな時間に。 私は、外回りで今駅に向かって歩いてる所だよ。」 『ん。こっちはスゲー雨でさ、ロケが中止になったから時間できたんだよ。久しぶりに会えたらと思ってさ。』 「え、そうなの!」 『ああ、夜までには都内に戻るからさ。無理かな?』 「んー、今は出先だけど…、大丈夫なんとかするから。どこかでご飯する?それとも家に来る?カズのマンション?」 嬉し過ぎて早口でまくしたてしまった。 『お前さ、ちょっと早口すぎるわ!。 俺さぁ今日はゆっくりしたい。久しぶりに千尋の作った飯が食いたいなぁ。』 ちょっと気怠い感じのカズの声。 疲れてるのかなぁ。 でも、声が聞けただけでこんなに嬉しいなんて。 心が弾んでくるよ。 「うん。わかった。仕事、早目に終わらせて夕飯作るから家にきて。」 『ん。じゃあ、千尋のマンション行きますわ。』 「もし先に着いたら鍵開けて入っててね。」 『ん、わかった。風呂入って待ってるよ。』 「ちょっと、お風呂は余計でしょ。お風呂は!。」 『え?。俺と一緒に風呂入りたいの?じゃあ、入るのやめて待ってようか?。』 「もー、昼間から何言ってんのよ。違うでしょ。」 『じゃあ、俺を中に入れたい?』 「へ?。」 いきなりの言葉にカッと顔が熱くなるのがわかる。 もう、どのくらいシテない? なんて一瞬考えてしまった。 『くくくっ…なに考えてんのよ。まあ、あとでゆっくりしましょうね。』 「ちょっとカズ!!」 『あ、マネージャーきたからまた後で。』 そんな感じのふざけたやり取りも、 久しぶりのカズからの電話ってだけで凄く嬉しくて、電話を切るとすぐに会社に電話をかけた。 ・
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加