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「やだ、ちょっと聞いてたの?」
「当たり前でしょ。あんなに大きな声で話してたら聞こえるわよ。改札出た時から呼んでるのにさ、千尋ったら電話かけるのに一生懸命で、私の声なんて聞こえないのよね。」
「ごめん。だってカズがさ…」
「はいはい。千尋の頭の中はいつも彼で一杯だもんね。ごちそうさまー。」
「ちょっと夏生。夏生だって蓮くんで頭の中は一杯じゃないの?」
「ないない。ウチらの付き合いは学生時代からじゃない。もう長過ぎて、倦怠期とかも通り越して老夫婦みたいだもん。もう、1ヶ月以上会ってないし。」
「え?。それで平気なの?。蓮くんモテるでしょ。気にならない?。」
「なんかさ、モテるらしいね。でも付き合い長いし、蓮の性格わかってるから大丈夫かな。
あれもこれも気にしはじめたら彼とは付き合えないからね。今は気にしないようにしてるのよ。」
「そっかぁ。いいなぁ。私達もそうなれるかな?。」
「え、枯れた老夫婦だよ私達。千尋達はまだまだラブラブでしょ。」
「ううん。もう倦怠期だよ。昨日だって、1ヶ月ぶりに会ったんだもん。」
「そーお?。和は千尋にベタ惚れだって蓮が言ってたけどな。」
「ウソだよ。それはきっと幻じゃない~♪」
「ちょっと千尋、ふざけないでよ。」
「だって本当だもん。付き合い始めた頃ならまだしも、今はカズが私の事をどう思ってるのかわからないよ。」
「千尋、そんな事思ってるの?。」
「うん…」
「私はそんな事ないと思うよ。」
「そうかなぁ…」
「なにかあったの?」
「ううん、ないよ。でも、なんだかそんな気がするだけ。」
「そっかぁ。じゃあ、その件はまた夜にでもゆっくり話そうよ。とりあえずさ、もう会社に着くからさ頑張って仕事しよ。」
「そうだね…。」
「なに、その返事。あんまりさぁ考え込まない方がいいよ?。千尋はいつも考え過ぎちゃうんだから。」
「うん。」
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そんな会話をしながら歩いてたら、あっという間に会社に到着。
「じゃあ、また後でね。」
夏生は、今の私の気持ちなんて知らないから、さっさと自分のデスクへ行っちゃった。
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