草太

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草太

対照的に、草太は平均的な学生生活を送っていた。 勤勉でもなければ遊び呆ける事も恐れる肝の小さい男である。 優柔不断で挫折も努力もしない代わりに執着もなく、迎合と付和雷同で人生を過ごしてきた。。 人間関係をパンに塗るバターの如く薄く広く伸ばし、いち早くテストの当たりを付け、それがまた方々への信頼を掴み人脈の拡散に繋がっていった。 そんな対照的な彼らを結びつけたのは、神様のいたずらと言えるのかもしれない。 草太は大学に入学してすぐにあらゆる部に顔を出した。 放課後になれば、正門の前で勧誘の為に地道を上げる先輩と右も左も分からない新入生で黒山の人だかりができるのである。 5月までは新歓コンパや食事会など、各部が競い合って開催している。 タダ飯、人脈、将来の彼女候補の模索。 草太に必要なものが詰まった時期でもあった。 草太は先輩達の懐に潜り込んで各部を跳梁跋扈していた。
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