封印

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 遠くから、サイレンのけたたましい音が鳴り響いてきた。兄が呼んだのか、近隣の住民が呼んだのか。パトカーや警官が駆けつけて来るのだろう。もうすぐ俺は、包囲される。果たして、どこまで行けるのか。行くしかない。行けるとこまで、行ってやる。  数台のパトカーが家の前の通りを塞ぎ、中から警官がゾロゾロと姿を現し始めた。なにやらメガホンで叫んでいるやつもいる。抵抗はやめろとか、おとなしくしろとか、わめいているのだろう。あの「扉」を打ち破った時点で、そんな考えは、俺にはない。 「うおおおおお、うおおおおおおおおおお!!!!」  俺はもう一度、周囲の空気を震わせるような雄叫びを上げた。それは、この世界に対する俺の、「宣戦布告」だった。止められるものなら、止めてみろ。俺はもう、籠の鳥じゃない。俺を封印していた扉は、もうない。  俺は、「解放」されたのだ。
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