特権階級の女

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村上晴江が自動運転の車で西条学園中学までの道を走っているとき、晴江の肩に電気信号のバイブが流れ、晴江のマイページにチャットが来たことを知らせていた。 晴江はゆっくりと右手の人差し指を胸の前へと持っていき、その人差し指を左から右へとスライドさせた。 そして何もないはずの空間に晴江のマイページが現れると、晴江はマイページのチャットのボタンをタップした。 晴江にチャットを寄越したのは、晴江のグループの一人である立花早苗で、晴江は早苗のメッセージをゆっくりと目で追っていた。 『晴江、大変だよ。 小原紗栄子が自殺した。 今、学園中が大騒ぎになってるよ』 晴江は早苗のメッセージを読んでその内容を理解すると、今起きている事件に興奮していた。 自分たちがいじめていた小原紗栄子が自殺した。 それは晴江の生活に非日常が舞い込む合図だ。 晴江はまるで自分が映画の中の世界に引き込まれていくような感覚の中で、早苗へのメッセージを音声入力で書き込んでいた。 『紗栄子が自殺したって本当なの? 紗栄子がどんな風に死んだか教えて。 惨めな紗栄子の最後の姿が知りたいの!』 晴江はそう言って、メッセージを早苗に送ると、早苗からのメッセージが待ち遠しくて、目の前のモニターにメッセージが送られて来ないかじっと見ていた。 紗栄子をいじめていたときとはまた違う興奮が、晴江の体を駆け巡って、晴江は思わずゾクゾクしていた。 選ばれた側にいる自分と平民の中でも最下級の小原紗栄子。 その光と影の鮮明なシルエットが晴江の心をワクワクさせて仕方がなかった。
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