特別支援学級

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 夜、眠れなかったので白いシーツを頭から被ってお母さんを驚かそうとした。だが、しかしお母さんは反応がない。シーツを取って顔を見たら、すでに寝息をたてていた。僕のお母さんはシングルマザーだ。だから昼間に働いている教師の仕事で疲れているんだろう。僕は少しがっかりして自分の部屋に戻った。中学生になってから自分の部屋が与えられた。特別支援学級の友達は自分の部屋がある子は居なかったからこれは凄いことなんだと思う。きっと先生が読んでくれる本の内容をきちんと聞いているからだろう。  シーツをもう一度布団に敷こうと思うがお母さんがやるみたいに上手くきっちりと敷けない。電気式毛布の上だけにシーツを被せて掛け布団を掛けた。今日は夜、寝る前にコーヒーを飲んでしまったせいで目がギンギンに開いている。何時もだったら10時にはぐっすり寝てしまうのに、もう11時30分だ。  僕には兄弟姉妹が居ない。お母さんは身体が弱くて僕を産んでくれたから、最初で最後の子供だと思っていたらしい。お父さんは誰だか教えてくれないが、一度お酒に酔っているときに好きだった人の話をしてくれたことがある。坂上さん、と言っていた。同じ小学校の教師だったみたいだ。坂上さんは今、何処で何をやっているんだろう。  明日は水曜日だ。1月に入って3回目の水曜日、僕はカレンダーが好きなので、見なくてもハッキリ分かる。お母さんは春はもう直ぐだと言うが、この辺りは北風が強くて寒い。僕は目を瞑りながら、昨日の夜に見た夢を思い出す。テレビが三次元になって僕の周りにドラマの世界が広がった。テレビも早く進化して三次元になれば面白いのに。テレビが開発されてから進化したことといえばカラーになったことやデジタル放送に切り替わっただけだ。あ、ブラウン管から薄型にもなったか。僕はカレンダーの他にテレビのことは詳しい。でもテレビに出ている人には興味がないから芸能人の名前は1人も知らない。
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