特別支援学級

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 夢のことを考えているといつの間にか寝てしまっていたらしい。チュンチュン、チュンチュンと鳥の囀りが外から聴こえて来る。時計を見るともう7時、何時もは6時には起きるから寝坊だ。目覚まし時計は鳴らなかったのか。急いで階段を下りて洗面所に行く。水がぬるま湯に変わるまで待って顔を洗う。足に挟んでおいたタオルで顔を拭いてキッチンへ行く。お母さんに何で起こしてくれなかったのか訊いたら目覚まし時計を止める音が聞こえたから、と言われた。じゃあ、寝ぼけて自分で止めたんだ。僕は椅子に腰かけて溜め息をつく。  まあ、寝坊したことを何時まで悔やんでいても仕方がない。それより沢山眠れたことを感謝しよう。お母さんはフライパンでハムを焼く。目玉焼きはすでに出来ていてテーブルの上で艶々と輝いている。僕はオレンジジュースを冷蔵庫から出してグラスに注いだ。いつも朝はアイスコーヒーを飲むのだけど、昨日の夜に眠れなくなったので当分は控えようと思っていた。  キッチンにある窓に下がっているブラインドの隙間から朝日が差し込んでいて今日は晴れだということが分かる。昨日はドッジボールをみんなでやった。先生が本気で投げたら怪我をする子が居るかもしれないから優しく投げなさい、と言ったから、その通りにしたら誰もボールに当たらなかった。投げる人は投げるまま、逃げる人は逃げるままで試合が終わった。僕は投げるだけだったので正直そんなに面白くなかった。ボールが当たるかもしれないというスリルを味わってみたかった。
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