特別支援学級

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 先生が絵本を読み終えると白い紙を配って小人の絵を描いてみなさい、と言う。僕は実際に見た小人の絵を描いた。ピンクの頬をした可愛い男の子。緑色のクレヨンで洋服と帽子の色を塗った。中々どうして上手く描けたように思う。周りを見るとまだ小人の絵に悪戦苦闘しているみたいだ。僕は先生にもう一枚、紙をくださいと言って画用紙を貰った。お化けの絵を描いてみんなをあっと驚かせよう。  綿あめみたいと誰かが言った。僕のお化けの絵は綿あめみたいに見えるらしい。違うんだよ、これは幽霊だよ、ホラ、目があるでしょう。そう言うと咲良ちゃんが泣き始めた。たぶん、お化けの絵が怖くて泣いているんじゃないと思う。でも先生に怖い絵は禁止ね。と怒られてしまった。僕悪いことをしたのかな。  学校が終わり帰りの路を歩く。特別支援学級は普通のクラスより終わるのが早い。給食を食べたらすぐに帰りの時間になる。今日の給食はシチューにコッペパンだった。まだお腹がいっぱいだ。だけどシチューなら幾らでも食べられる気がする。今日の夕ご飯も同じだったらいいな。夕ご飯にパンが出たことはないが。日本人は夜は白米を食べるって決まっているんだろうか。朝ご飯はパンの日と白いお米の時と色々だ。  家に着いて通学カバンを机に置くと、チャックを開けて今日描いたお化けの絵を出した。お母さんに見せてあげよう。きっと上手いねって褒めてくれるだろう。僕は頬の筋肉があがる。ご褒美にシチューを作って貰っちゃったりして。それは無いか。お母さんは仕事の帰りにスーパーに寄ってしまうんだから。ああ、でも出来れば洋食がいい。魚は好きだが昨日が鮭だったので出来れば肉が食べたいな。
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