特別支援学級

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 テレビを点けると画面に殺人のシーンみたいなものが映し出される。お母さんの好きなドラマという番組だろう。しかしどうして受信したものが映像になるのか謎だ。これを開発した人は天才だと思う。僕の考えた三次元の世界も実現すればいいのに。そうすれば芸能人のことも覚えられるかもしれない。  僕はテレビの伝えたい意味が分からないのだがテレビを点けてボーっと過ごしていた。7時までそうして過ごすとお母さんがスーパーの白い袋を両手に持って帰って来た。唐揚げでいい?と訊かれた。唐揚げは大好きだ。小学生の時に北海道に連れて行ってもらったときに食べたザンギから鶏肉の揚げ物には目がない。北海道には雪まつりのときに行ったから5年ほど前だがハッキリあのザンギの味は覚えている。その他にホワイトチョコレートが掛かったパンも美味しかった。  お母さんがキッチンへ行こうとするので僕はテレビが三次元になった夢の話をする。お母さんは「そういうものはあるよ、ゴーグルを目に着用するんだけどね。買ってあげたいけど、そればかり夢中になったら困ると思って買わなかったの。欲しい?」と言う。ゴーグルって何だ?でもそれを目に付ければいいだけなら何でみんなテレビなんか見るんだろう。 「三次元のテレビが観れるの?」 「いや、テレビとはちょっと違うんだよ」  僕はお母さんにゴーグルが欲しいから買ってくれないか?と訊いてみた。お母さんは今度、電気屋さんに連れて行ってあげる、と約束してくれた。
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