突然の恋人宣言!?

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「いえいえ、アレぐらい印象付けておかないと。いままで接点のなかった僕と高梨さんが、ある日突然”恋人”になったなんて、誰も信じませんよ。それに、これまで、あなたは僕のことを好意的には思っていなかったでしょうしねぇ?」 「……それは、そうですけど。だからって、なんの説明もなく、いきなりあんなことしなくったっていいじゃないですかっ!」 「ハハハッ、そこは否定してくださらないのですねぇ? ますます気に入りました」 「……えっ? 最後の方、なんて言ったか聞こえませんでしたけど」 「いえいえ、大したことではございません。それより、さっきからそんなに目くじらをたてて怒っていたのでは、さぞかしお腹も空いてるんじゃないんですか?」  ――フンッ、あんたのせいでしょッ! 「いえ、別に――「ぐる~」!?」 「ハハハッ、あなたのお腹は素直で可愛らしいですねぇ」 「////」  それなのに、こういう時だというのに、元気だけが取り柄の私のお腹は、今日も(すこぶ)る絶好調らしく。  鬼畜に向けて、鼻息荒く突っぱねた筈が、お腹の虫を鳴らしてしまうという、なんとも恥ずかしい大失態を犯してしまった私の怒りは、すっかり羞恥へと切り替えられてしまった。  それを、とても愉しそうに声を立てて笑う鬼畜の放つ言葉と、運転席で肩を僅かに震わせ、笑いを堪えてるのだろう蔵本の姿に、私の羞恥は、ますます煽られてしまうのだった。
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