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ーーもう、なんなの? この人、年上なのに可愛くて堪らないんですけど……。
さっきから言ってることは私の羞恥をわざと煽るような、メチャクチャ意地悪で厭らしいことばっかり言ってくるクセに。
時たまふいっと、寂しがり屋のワンコが飼い主に構ってほしくて足元にすり寄ってきて、ウルウルの円らな瞳で見上げつつ甘えてくるような、そんなことされたら、どんな我儘なことでも無条件に聞き入れたくなっちゃうじゃないか。
五つも年上のクセに、ちょっと甘いマスクしてるからって、なんなのそのあざとい可愛さは―ー。
あんなに恥ずかしかった筈なのに、羞恥なんてもうどっかに行っちゃってるし。
代わりに、鬼畜のあざとい可愛さにキュンキュンさせられてしまうというオマケまで加わった。
お陰で身悶え&キュン死でもさせられてしまいそうだ。
けれども、そんなことを思っているなんて微塵も気取られてしまう訳にはいかない。
……そんなこと知られちゃったら、きっと調子に乗って、どんどん要求がエスカレートしちゃいそうなんだもん。
ーーそれだけはなんとか阻止しなければ。
この時点で、もうすっかり鬼畜の掌の上で好きなように転がされているというのに……。
そんなことにもまるで気づかない盲目状態の私は、まんまと鬼畜の思う壺に嵌っていくのだった。
といっても、それらが全部、鬼畜によって操作されているかどうかは不明なのだが。
まぁ、いずれにせよ、私が鬼畜にドップリハマっていることには、違いないだろう。
「いっ、言えばいいんでしょ? 言えばっ」
あざとい可愛さを見せる鬼畜へ抱いてしまった気持ちをぐっと抑えて、なんとかいつものように、勢い任せに放った途端。
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