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少し拗ねているような甘えるような口調同様の表情を瞬時にシュンとしたものに切り替えさせた鬼畜に、
「そんなふうに投げやりな言い方をされてしまうと、無理矢理言わせているようで、ちっとも嬉しくなんてありません」
なんて返され、ぐっと胸を締め付けられてしまった私は気づいた時にはもう、
「隼の好きにしてほしいっ」
胸元でシュンとしょげた表情で私のことを見上げたままでいる鬼畜改め恋人になったばかりの隼に向けてまっすぐに放ってしまっていた。
そうしたらそれを聞いた隼の表情は見る間になんとも悩まし気な苦し気なものになっていき、
「あー、もー、侑李さんは本当にズルい人ですね? そんなことを言われてしまったら、侑李さんのことを本当の意味で僕だけのものにするために、もっともっとイジメようと思っていたのに、もう我慢なんてできないじゃないですか? また抱き潰しても知りませんからね?」
眉間に幾つもの皺を刻んで、甘いマスクをぐにゃりと苦し気に歪めた隼の苦し気な声音が返ってきて。
そんな隼のことがどうにも愛おしくてしょうがない私は、『何もかも全部包み込んであげたい』という一心で、思ったままのことを言葉として紡ぎだしてしまうのだった。
「それでもいい。私は隼になら何をされても平気だもん。言ったでしょ? 全部受け止めてあげるって。それくらい隼のことが好きになっちゃってるみたい。だから、責任取って速く隼のものにして、お願い」
ここ最近、隼に容赦ない求愛行動をお見舞いされていた所為で、私はすっかり感化されてしまっているらしい。
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