幻の王子様の正体 〜side隼〜

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 でも、そう思ってくれるくらいには僕のことを好きになってくれているということなんだろう。  ……そう思うと。やっぱり侑李さんとずっと一緒に居たい。もっともっと僕のことを好きになってもらいたい。っていう欲までが顔を出してきてしまう。  ーーこれからは少しの不安も感じさせないくらい、侑李さんのことを大事にしていきたい。侑李さんのことを守らせてほしい。  昨日の今日で、こんな時に言うべきことじゃなかったのかもしれないし。  打算がまったくなかった、と言えば嘘になる。  でも、あんなことがあったからこそ、その想いを抑えることなどできなかった。  ーー侑李さんを僕以外の男になんて指一本たりとも触れさせたくない。侑李さんを独占したい。  愛してやまない侑李さんのことを純粋に守りたいという想いと、打算的で身勝手な想いに突き動かされてしまってた僕は、   「謝るなら、このまま僕と一緒にここで暮らしてくれませんか? 僕、なよっとした顔してますけど、こう見えて鍛えてますし。なにかあったらすぐに飛んでいきますから、重宝しますよ。料理だってできるし、侑李さんのことしか目に入ってないんで、浮気もしません。将来、結婚した時にも重宝すると思いますよ。心配しなくても、その時期は侑李さんに任せますから」 できるだけ明るい口調で侑李さんにそう提案していた。
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