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ほんのりと酔いも回って、いい雰囲気になってきた頃、隣り合って座ている隼が私の腰に手を回すと引き寄せられて、いよいよキスかと思った時。
「侑李さん、なんだかぼうっとしてます。もう休んだ方がいいんじゃないですか? ベッドまでお連れしましょうか?」
私のおでこにコツンと自分のおでこをくっつけてきた隼に、そういって優しい声音で尋ねられて。
確かに、隼のことをなんとかその気にさせようと躍起になっていたものの、やっぱり恥ずかしかったものだから、ワインの力を借りようとして、少し呑みすぎたのかもしれない。
……そう気づかされたものの、そこまで心配されるほど酔っている訳じゃなし。このまま寝かされてはたまらないーー。
そう焦ってしまった私は、隼に色っぽく迫ろうと、あれこれシミュレーションしていたというのに、色々すっ飛ばして、色気もへったくれもないことを口走っていた。
「だっ、ダメッ! せっかく手錠とかオモチャ買ったんだからッ。それ遣ってイジメてくれるまで絶対寝ないんだからッ」
ーーこれじゃあまるで、ただの変態だ。
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