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社長室の机の上に並べられた写真を見ると、冬夜はいつも同じ話しをする。
(人の事言えないんだからね?)
と思いながら静は黙って話を聞く。
「綺麗だったよなぁ…思わず見るな!って言いたくなる位でさ。静の親戚ってみんな美形なんだなぁ、て言うか、お義父さんの血筋なのかな?尚也君もすごいハンサムだしな。お色直し、もっとやりたかったなぁ。」
「無理だってば!着替えるの疲れるって話したでしょ?」
「なぁ、静?披露宴だけまたやろうか?子供産まれたら、ドレス好きなの着られるぞ?」
にやにやとした猛獣顔で言われて、静は苦笑する。
「嫌よ!一度で十分だわ。」
「何回でもいいだろ?」
「あ!そろそろ会議室に移動して下さい。社長が遅刻では示しが付きません。」
壁時計を見て静は秘書として言う。
「まだ大丈夫だよ。静、会議中、心配だから一緒に行こう?」
「会議に同席する秘書はおりません。」
笑顔で拒否する。
「秘書室じゃない、奥さんとして同席するんだ!」
「会議に同席する奥様もおりません。」
笑顔マックスで拒否する。
「前例は後の為に作るんだよ?静。」
「私は結構です!社長?」
「はい?」
「お時間です!会議の準備をされて下さい。資料は私の机の上に、あ、持って来ます?」
「やめて!!行きます!行く時持って行くから、絶対、持つな!!」
バサバサと準備を始める冬夜を、くすくす笑いながら静は見守った。
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