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「今日も秘書の同行はなしか?」
ドアを開けて待っていると、足を止めて横を向いて言われた。
(今日…も?)
「副社長や専務が交代で同行致しておりますし、警備もおります。秘書が同行する様な場ではございません。」
目を合わせない様に答えると、社長が小さくため息を吐いた気がした。
「前社長の時には同行していたと聞いたがな?常に側にいて細かなスケジュール管理をしていたらしいじゃないか?代替わりがそんなに気に入らないか?」
「秘書ですから言われた仕事を致します。同行は必要ないと上から言われておりますし、取引き先への挨拶に私は必要ないと思いますが?」
淡々と答えると、またため息。
「分かった。行って来る。」
「いってらっしゃいませ。」
90度でお辞儀してお見送りをして、足音が遠くなるのを確認してから顔を上げてドアを閉めた。
「はぁぁぁぁぁ…また、「聞いたがな?」誰に聞いたのよ?常に側にいて細かなスケジュール管理、するでしょ!秘書なんだから!就任からのスケジュールは秘書課が全部決めているし。社長自身、まだ右も左も分からない状態で私にどうやって管理しろって言うのよ!ったく……。でも……誰がいちいち耳に入れてるの?」
送られて帰った日から、2日経過しても何処かピリピリとした空気が流れていて、静自身も話し掛けないでオーラを出していて、微妙な空気が流れていた。
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