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「静!しず、静!やっと捕まえた!お昼、一緒出来る?」
秘書課に顔を出した後、廊下を歩いていると郁に捕獲され、廊下の隅に追いやられた。
「しゃ、社長はお昼は出先で食べられるしいいけど…私お弁当よ?」
「社食でいいよぉ。電話じゃ要領を得ないし、詳しく聞きたいの。」
冬夜社長に送られて、帰宅して直ぐに郁にLINEを送った。
郁はまだ飲んでいる所で詳しい話は翌日、と返信を受け取ったまま時間が合わずに2日が過ぎていた。
人事課は常に忙しく、今は次の就職試験や人事の査定準備などをしている様だ。
人事課のホープと言われるだけあって、郁の人を見る目や査定の厳しさは噂になるほどだった。
「ぐっ!……す!す、好きですって言ったぁぁぁ?はぅ!」
社員食堂の四人掛けテーブルに向かい合って座り食事をしていた。
郁の爆弾発言に驚いて声を上げると、ガタンと立ち上がりベチっと凄い勢で口を塞がれた。
「しーっ!!ハウス!ハウスだよ?静!!」
睨まれて言われて、こくこくと頷く。
「もう!だってさ!目の前にいるんだよ?動くんだよ?佐野さんとか名前呼ばれちゃってんだよ?」
少し睨んだまま、口から手を離してゆっくりと郁は椅子に腰を下ろした。
「もう…それよりさ?あの二人組に絡まれてるとこで社長が来て送ってもらったから大丈夫!って…このライン!簡潔過ぎて意味不明!ちゃんと説明してよね?」
スマホを印籠の様に目の前に見せられて言われた。
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