思い出は…。

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「今回のプロジェクトは大手化粧品メーカーとの共同開発で、広報に至ってはうちの方が得意分野とされて全面的に任されている。」 真剣な顔で冬夜社長が話し始めた。 「…はぁ、聞いておりますが…。」 キョトンとして答えた。 「俺の社長としての大きな仕事だ。」 「…はい。聞いております。」 「メンバーは俺が各部署から選んだ。みんなそれぞれ仕事はあるから、自分の部署の仕事をしつつのプロジェクトになる。」 「……はぁ。」 (分かっているんだけどなぁ…) と考えながらボーッとした視線を社長に送る。 「だ、か、ら!!お前はアホか?黒田 静!」 「はぁ?」 (だぁれが、アホだぁ〜?久我の癖に……偉そうに…。) ぐーを作って堪えた。 「秘書だけど!黒田もメンバーに選んだんだよ!俺が!社長がな!だからお前も来るんだ。初顔合わせ会議。参加だ。分かるか? さ、ん、か!」 (……ぱーどん?日本語は分かりますけど?) 「ぷ、プリーズ セイ ワンス アゲイン…?」 「……いい度胸だなぁ。」 小刻みに肩が震えているなぁと思うと、ガッと捕まれて、米俵みたいに肩に乗せられた。 (い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!何これ!何これ、どういう状態!!) 驚きすぎて声が暫く出なかった。 「あ……い、いあ……。」 「いあってなんだよ?」 米俵…もとい、静を担いで笑っている。 「お、下ろして…下ろして!!この格好のまま行きたくなぁ〜い!!」 廊下で叫ぶとエレベーター前で下ろしてもらえたが、同じフロアに部屋がある副社長と専務の秘書にはバッチリ見られていた。 担がれたまま廊下を歩かれたら、それは見られるに決まっていた。
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