第十夜 ③

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☆ 後日。帰省イベントが終わり寮へと帰宅したエラはアイザックと連絡を取っていた。 待ち合わせたのは城下街にある小さな喫茶店。エラが行くよりも先にアイザックが席についていた。 「お待たせ、アイザック。悪いわね、呼び出して」 「いや、構わねーよ、別に。それで?どうしたんだ?」 「どうしたんだ?じゃないわよ!もう!大変だったんだから!」 「あーそういやハンニバルとの帰省イベントかなんかがあったんだっけか?どうだ?上手くいったか?」 「…その言い方…もしかして、貴方が仕込んだのね!?まさか、イオニコフにも!?」 「おー、わかっちゃったか」 「わ、わかっちゃったか!じゃないわよもう!!!お陰で神経すり減らしまくったんだから!!!」 喫茶店の雑踏に消えるくらいの音量だが顔はしっかり怒っている。 「どうどう。なんか不味かったか?」 「不味かったか?じゃないわよぉ…。まぁ、いいわ。説明するわね」 かくかくじかじか、イドラの帰省イベントで起きた内容を話した。 珈琲を飲みながら話を聞いていたアイザックはほとんど表情が変わらなかった。 一通り話し終えたエラは紅茶をクイッと飲み干す。 「と、まぁ、こんな感じだったのよ」 「なるほどなぁ。まさかそんな事になってたとはなぁ」 色々てんこ盛りだったはずだがアイザックの反応は驚いているもののその声は淡々としている。 彼のそんな様子にエラは不満が募る。 「ちょっと!何よその反応は?こっちがどれだけ神経すり減らしたと思ってるのよ??正体バレそうになった時の絶望感、わかる??」 「んなこと言ってもよ、こっちだってそんな展開になるとは汁ほども思ってなかったし。…いやな、最終イベントを迎える前にハンニバルの協力は必要になると思ったんでちょっと突っついたんだよな。あいつも俺とお前が親しいの知ってっからな、気にはなってたらしいぞ。怪しいはずの女と何故つるんでんのかってな」 「あの堅物が?そんな事気にしてたの?」 「みたいだぞ。ああ、あと英雄もお前が居ないつって俺のとこに来たからハンニバルの実家にいるだろうと言っておいた」 「はぁ…。そのせいで色んな大変なことになったじゃないのよ…」 「けどよ、そのおかげで英雄は味方になったと言ってもいい状態になったんだろう?それは功を奏したと言って良いんじゃないか?」 「そうだけど…。確かにね?あの堅物も一応は様子見で手を収めてくれたけど…。もう終わったと思ったわよ…。てゆーか、おかしくない?原作では彼が魔女を殺す事に躊躇いなんてなかったじゃない?でも実際の彼は…なんて言うか魔女について詳しくて無意味に処刑することは望んでないわ。これ、ちょっと温度差あり過ぎじゃない?」 「そうだな。ハンニバルは原作のイメージとそんなに変わんねーけど、英雄はだいぶイメージが違うんだよな。あいつ、嫉妬とか隠す気無いしな…」 アイザックはクイッと珈琲を飲む。 「それに…最初っからお前に執着し過ぎじゃねーか?主人公は聖女だろ?いくら最初のイベントをエラがやったとしても、聖女にほとんど取り付いてないのがおかしいんだよな」
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