プロローグ

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私、秋葉沙夜(あきばさよ)は私立大学に通う四回生。いつもの日課で大学までの道を自転車で走っていた筈だった。特に直前に事故に遭ったとか異世界転生ものの鉄板ネタを挟んだ記憶もないのだが何故かこうして乙女ゲームの世界に転生していた。最早神様の悪戯と思う他ないだろう。これ以上その事を考えても埒があかないので、まずは灰かぶりのエラことエラ・エーデルワイスが今、どういう状況にあり、どの地点の話なのかを把握しなければならない。 エラとしては主人公と接触しても嬉しいことは特にない。良いように使われるのがオチなので、そもそもの接触イベントを回避することが最善策と言える。とは言え、この転生した地点で既に接触イベントの後だったらどうにもならないわけで…。 …とにかく、接触イベントは二年生の春に来る。今がどの時点の話かを確認しないと…。 エラが着ている制服は長袖だった。ということは、冬か春であるということだろう。エラ・エーデルワイス自身の記憶も持っている沙夜はひとまずはエラの部屋に向かうことにした。 ☆ 「今は…ニ月…十五日…!!まだ一年生だわ!」 学園内にある寮の部屋でノートやカレンダーで日付と学年を確認した。幸いなことにこの地点は春の接触イベント発生前。今から虐め問題を自力解決すれば回避出来るかもしれない。 「エラ・エーデルワイスはどうして虐められているんだっけ?」 机の上のノートを開き、メモを書き込んでいく。
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