『だらけちゃんCOME・HOME』

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見たところ、一般家庭のリヴィングくらいの広さは充分あるだろう。 薄ぼんやりした明かりの点る、白い天井と白い壁紙。 足元の床はふかふかとして、厚い羊毛の絨毯みたいだ。 (窓がない……ドアもない。なんだここ、どうなってんだ?) 家具らしい物はベッドが一つ。 モコモコとした毛に覆われた、羊の背中みたいなベッド。 ーーそして、部屋にはもう一人。 ベッドの陰から俺を見つめる、なんだか「ヘンなやつ」がいた。 「……だれだ、おまえ」 そいつは俺の声にビビって、「びくっ」と小さな身をこわばらせ、 舌っ足らずな声で答えた。 「わ、わたしは……『だらけちゃん』です……」
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