『だらけちゃんCOME・HOME』

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歳は4、5歳くらいだろうか? 俺の腰丈ほどの背をした、ちっちゃな女の子だった。 涙を浮かべたつぶらな瞳。 短い髪にリボンを付けて、「二つくくり」にしようとした毛が頭の上でとびはねている。 大きな衿の黒いワンピースに丸ポシェットを肩から提げて、緊張気味に震えていた。 (おいおい、なんだよ。どこのガキだよ……) 俺はため息をついてから、そのちっこいのを睨みつけた。 「おい、おまえ。なんの用だよ」 「だらけちゃんは……だらけちゃんは……」 拳をぐっと握りしめ、声と勇気を絞り出す。 ーーあなたの「やる気」を奪いにきました。 やっとのことでそう言うと、「ほら、そこに横になって」と小さな指でベッドを差した。 「ヤだよ」 「あうぅ……」 「わかったよ……」
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