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そのときのことがトラウマになって、想は二人目は無理だと諦めた。
諦めたと言うか、もうあんな思いはしたくない、美結にもさせたくないと、美結を説得したらしい。
美結を失いたくない、と。
……僕さえいなければ。
僕さえいなければ、美結は死ぬ思いもしなかったし、想が諦めることもなかったはずだ。
もし子どもがいなかったとしても、想と美結なら終わりのその先まで幸せに過ごせる。
二人の幸せに、僕は邪魔でしかないんじゃないだろうか。
……幸せな家族。幸せな家庭。その中で僕は勝手に、孤独(ひとり)を感じている。
想と美結がゆるしてくれていても、僕が美結を殺しかけたことに違いはないから。
………うーの存在が僕の支えになっていたのは、いつの頃からだろうか。
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