想いを乗せて

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「・・・は?」 納得いかない返事をするのは もう何度目か メキシコの運転免許証を持って警察へ行くと “日本では通用しない”と鼻で笑われた 逆は通用するらしいが・・・ 26歳にもなるのに 帰国したばかりで工房を作る前の無職の俺には 携帯電話の契約さえ保証人が必要だった これじゃあアパートすら借りられねぇ 恋に会いに行くまでに 全て完璧にって思っていたことは 半分しか叶えられそうもない 少し落ち込んで 少し開き直って 初めて爺さんに甘えながら 家具工房の片隅に俺の作業場も作ってもらえた コツコツとアクセサリーを作り溜め 合間にデパートやアクセサリーショップへに売り込みにも出かけた インターネット販売から初めれば良かったけれど パソコンが使いこなせない分 脚を使って売り込み続けた けど・・・この世界は新参者には厳しいらしく 門前払いを受けるばかり それでも夢の実現の為だと走り回る俺に 爺さんの工房でカリーナの営業が声をかけてきた 「これ、ハンドメイドですか?」 「あぁ」 「ずいぶん本格的でセンス抜群ですね」 「俺のはメキシコとタイだ」 「我流じゃないからクオリティが高いんですね うちならあっという間に人気作家で 翌月には専用コーナーを作りますよ」 40代前半だろうか [営業一課 課長 小松泰二] 貰った名刺を片手に カリーナの店頭で月替りのコーナーに出品してみないかとの話を聞いていた この人との出会いが俺にとっての幸せを運んでくるとは この時は分からずにいた
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