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「じゃぁ今度の土曜に、昼から特訓な。動けなくなるからあんまり飯食ってくんなよ」
「わかった、気を付ける」
「俺はもう帰るけど、おまえも帰るようなら暗いし送っていこうか?」
なんか、このまま別れるの嫌なんだけど。もう少し、なぎさと話がしたい。俺はそう思っているのに、なぎさはぶんぶんと首を横に振る。なぁ、なんで遠慮するんだよ。
「うち、すぐそこだから大丈夫、ありがとう。平川君も気を付けて帰って」
そう言われたら引き下がるしかない。まぁ、この遠慮の塊みたいなところもなぎさっぽいよな。
「じゃあな、なぎさも気を付けて帰れよ」
俺はなぎさに背を向けて公園の反対側へ歩いていく。本当はおまえのこと送っていきたいんだけど……
こんなとき、健太郎だったら、うまくいえるんだろうな──
俺はなぎさに向けている背中に神経を集中していた。なぎさが駆け寄ってこないか――そんなことを期待しながら、結局そんなことはなくて一人帰路につく。
土日、楽しみだな――なんて思ってる俺がいる。
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