凪 壱

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 あの頃の俺たちは、冬の海のようにとても不安定で――  幼い子供のように思いのままに行動するのは恥ずかしくて――  だけど、自分の気持ちを上手に隠せるほど大人にもなれなくて――  だから自分を傷つけて、友人や、大切な人を傷つけて――けっして上手く生きていけなかった。  今の俺ならどうするだろう――あの時離してしまった手をもう一度握ることができるなら――  もう二度と絶対に離したりしない。たとえ、どんな荒波がこようとも――
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