やさしい彼女

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「ちょっ……やめろよっ、気色悪いっ」 「だってぇ、やさしくしてくれたから、嬉しくってぇ」 「やめろってんだ」  彼女が足をバタバタさせる。  ぼくは放さない。  なんてやさしくて、かわいい女の子だろう。食べてしまいたいくらいだ。  そう思ったら、もうたまらなかった。  今までさんざん我慢してきたけど、もう限界だ。  ぼくは、一瞬のうちに頭部をアドバルーンのように大きくふくらませ、パックリと巨大なあごを開くと、彼女をひと口で食べてしまった。  ごっくん。  ああ、おいしい。  あれぇ、バケモノはぼくのほうだったかなぁ。                             〈了〉
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