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「で! 他のメンバーを教えてもらえますか?」
手のかからない精鋭たちじゃないと、許さない! そんな目で天王寺をじっと見つめた。
天王寺はまたもや「うっ」と呻いたが、コホンと一つ咳払いをし、緩やかに口角を上げる。
「結構、面白いメンバーを揃えたよ」
プロジェクトのメンバーで、仕事の良し悪しが決まると言っても過言ではない。自社主導の大きな仕事なのだから、メンバーは大事だ。特に、今回は亜耶がリーダーを務めるのだから、まとめやすいチームがいい。
そんなことを考えながら、天王寺の言葉を待つ。
「まず、サブは加賀谷君に任せようと思っている」
「グッジョブです! サブが菩薩様なら、頑張れます!」
「あはははは……」
天王寺が苦笑いをしている。
サブリーダーに名前が挙がった加賀谷は、ニックネームが「菩薩様」、その名のとおり温厚で、慈悲深い。
天然も入っているのだろうが、何があっても落ち着いていて、決して怒らない。イライラした顔などもしない。何もしていなくてもニコニコ笑顔だ。
肝心の仕事も、丁寧で確実、言うことがない。
そして、揉め事なども、彼が間に入ると毒気が抜かれるのか、瞬く間に収まってしまう。まさに「菩薩様」のような人物だった。
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