仕事に嫌とは言えません

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 その時、会議室の扉がノックされた。  誰か来るとは聞いていなかったので、亜耶が訝しげな顔をすると、天王寺は何食わぬ顔で入ってくるよう声をかける。  「失礼します」と言いながら入ってきたのは、開発側のリーダーに指名された、汐見遥だった。  亜耶は驚いて、天王寺と遥を交互に見る。 「ごめんごめん、言い忘れてた。遥も呼んでたんだー」  絶対忘れていたのではない。これは意図的だ。  亜耶が軽く睨むと、天王寺はへらりと笑いながら、遥に亜耶の隣の席を勧めた。  亜耶に小さく会釈をして遥が席につく。これほど近くで見たのは初めてだが、その整った顔立ちに驚いた。遠目からしか見たことがなかったので、これほどとは思っていなかったのだ。  そう言われれば、遥が入社してきた際、灯里が「綺麗で美人なイケメンが入ってきた! 目の保養!」と騒いでいた気がする。亜耶は軽く流していたのだが、こうやって間近で見てみると、灯里の言っていたことはまさにそのとおりだと思った。 「さて。遥は高槻さんとこうやって顔を合わせるのは初めてだよね?」 「はい」  遥は頷き、亜耶の方を向く。正面から見ても、美人イケメンに変わりなかった。  全体的に色素が薄く、日本人離れしている。明るい茶の髪は地毛だろうか? 瞳は(はしばみ)色で黒目が大きく、フォルムも美しい。
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