死界

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死界

人は死んだら無に還る……。そんな話しを聞いたことがありますか? たしかに、人が死んだらどこへ向かいどこにたどり着くのか分かりませんよね。 だけど、その話しは実は本当なのかもしれません。 “人は死んだら無に還る”。その言葉の通りの場所へと向かうんだと思う……。 〆 ーーここは、どこ? ーー私は一体、何をしていたの? ーーあ、そうだ、私死んだんだっけ……。 ーーまあ、死んだことには仕方がないけど。 ーー……ここは、どこだろう? ーーえっ?! ふわふわと浮かぶような感覚から一転、急に降下して行く感覚になった。いや、違う本当に落ちているんだ! 暗い場所にいたような感じから、いきなり眩い光が射してきた。私は、目をつぶっていた目を開き周りを見渡す。すると、高い空から一面白い地面へと徐々に落ちていっている。 私は、このままだと当たる! と、何もない宙を手で仰いだ。 しかし、そんな行動は無意味に終わり、次の瞬間には、目の前に白い地面ーー白い花が目に飛び込んだ。 そしてーー ドサッ……。 「……あれ?」 白い花々がクッションになってくれたのか、激しい激痛はなかった。いや、そもそももう死んでいるんだから、痛いとかはないな。 仰向けに落下したのか、花びらが宙を舞っている。 はらはらと、はらはらと、私の顔に降ってくる。 「……」 ボンヤリとする頭を無理やり振り払い、体を起こした。 辺り一面、白い花々でいっぱいだった。 ふと、服は着ているのか? とどうでもいい考えが思いつき、自分の服を見た。 服は着ていた。けど、白いワンピースの服だった。 空を見上げてみると、夕方のような空模様だった。しかし、ある一点には小さい黒い渦のようなものがある。 たぶん、私はその黒い渦の中から出てきたのだろう。 他に誰かいないか辺りを見るも、私以外誰もいない。静かな場所だ。 「……死んだら、三途の川を渡るんじゃ」 そんな川があるようには見えない。 私は、本当に何もないか歩いてみることにした。幸い、まだ人の姿をしているから、少しだけ安心した。
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