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エピローグ
「ひーびーきー、起きて!遅刻するよ」
律は、トースターを開けてパンを取り出し、コーヒーを注ぐ。
「んぁ?!やべっ!」
響は、時計を見て慌てて起き上がり、ガバッとTシャツを脱いだ。
「律、ごめん、飯食う時間ないわ」
洗面所で顔を洗い、戻ってきてコーヒーだけを飲む。「あちっ」
「あー、気をつけて!」
毎朝、バタバタとしているが、今日は特に時間がなくて響は急いで着替えを済ませた。
「響、ほらお弁当!」
「おー、サンキュ!じゃいってくる!」
「いってらっしゃーい」
ドアを開けて出ていく響をヒラヒラと手を振って見送った。
すると3秒後にまたドアが開いた。
「どしたの?忘れもの?」
律が奥の部屋に忘れものを見に行こうとすると、きゅっと腕を捕まれる。
響は、片手で律を抱きしめるとチュウッと唇を吸った。
「もー!時間ないんだろ?」
律が怒ると「充電、充電!」と響は笑っている。
「いってきまーす」
「はーい、気をつけてね」
アパートのドアを開けて響の後ろ姿を見送った。
律は、響が出掛けてからゆっくりとコーヒーを飲んだ。
大学に向かうための準備をする。
色々なことがあったけれど、今は本当に幸せで、ちょっと怖いくらい。
けど。
響と逢えたから。
─ふたりの旋律はいつまでも響きあうんだ─
そんな歌詞が、ふっと浮かんで、響が帰ってきたら教えてあげよう、と律は思った─
──fin──
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